最近は色んなことが自動化される一方である。電車の切符を買うときは自動販売機。改札も都会では殆ど人がいない。電車に乗るとウオークマンでカシャカシャの世界。会社に着けば、朝のジュースやコーヒーを、ガッサンと自動販売機で買い求め、自分の定位置のパソコンの前に座ると、仕事はしてるんだろうけど、とりあえず、じーっと無口なままだ。

銀行で金をおろすのも入れるのも自動預金機。公共料金は口座から自動引き落とし。ちょっと前まではそれぞれの窓口に行き、いちいち手続きしたのである。そこでは係のお姉さんと口も利いたし、恋の芽生えるチャンスも(おれはなかったけど)あったに違いない。 こうして、無口なニッポン人が増えるのだろうか。無口からの革命的な転換。無血革命じゃなくて無口革命はまたしても遠のいてしまうのだろうか。

気のせいか、なんとなく近頃オタクっぽいのが多くなり、何考えてんのか分からない犯罪が増加しているようでもある。無灯の自転車で背後から忍び寄り、いきなり切りつけるなんつうのより、スキーにでも行って、女の子に声かけてたりする青少年の方がよっぽどまともだと思うのである。

巨匠と言われるアメリカの映画監督が、ローマのチネチッタ(川崎のじゃないよ。元々はCINE CITTA=映画の街と言うイタリア語)で映画を撮影したときに残した名言。

「イタリアは役者以外に名優がそろってる」

その心は、職業俳優は大根で下手くそだが、市井のフツーのイタリア人はみんな名優で役者揃いだと言うのである。

イタリアへ行ったらどこでも人間を観察してみるといいだろう。プランメゾンのあたりにいるイタリアーノを眺めているだけで時のたつのを忘れてしまう筈である。

イタリアで一番面白いのは人間であるとはやはり、誰しも思うことなのだろうか。

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