今年一月のドロミテ探索隊は、ヴェネツィア発ミラノ乗り継ぎで帰国することになっていた。予約してあったのはヴェネツィア発11時45分、マルペンサ着12時35分の便で、東京へ向かう786便の出発が1400時なので、オンタイムであればなんら問題はない。筈であった。

ところが、ヴェネツィアを出るときの飛行機が遅れていたため、マルペンサ空港では、東京行きのゲートへ走るように直行した。おかげでいつも土産に買っているバッチ(キス)チョコレートさえ買う時間がなかった。

そもそも、ヴェネツィア出発の朝も、予定の時間より一時間も前に、
「運河の水位が上がって、橋の下をくぐれなくなる。今のうちにボートに積んで運ばないと、大変だぁ」
というから、あわてて、荷物を詰め込んで出てきたのである。ったく、オッコルでぇ。ホンマぁ。

各空港では乗り継ぎの際の最低必要時間(Minimum Connecting Time=略してMCT)が設定されている。このMCTは航空機の定時離発着を前提とした設定なのだが、乗り継ぎに必要十分な時間と考えると間違いの元となる。

マルペンサ空港で見ると、国内線から国際線へのMCTは45分となっている。これは、45分あれば、人も荷物も乗り継げるという理論値なのであって、全てがうまくいったときの乗り継ぎ時間と考えた方がいい。実際はいくらなんでも、あの広い空港で45分では短すぎる。

定時運行が当たり前の短距離電車や地下鉄に乗ることが多い日本人は、少しの電車の遅延にも騒乱を起こすばかりに怒り狂う。が、比較的中距離を走る東海道線なんかは、やれ、人身事故だ。やれ踏切内にクルマが立ち往生だ。線路内に人が立ち入った、と一々怒ってたんじゃぁ身が持たないくらい、年中遅れております。

航空機が時として遅れることや、日本がEU非加盟国であるための、A→Bターミナル間の移動。パスポート審査の時間。回りの皆さんへのおみやげ探しを考えると、乗り継ぎには2〜3時間を見ておいた方がいいだろう。

探索隊一行もようやくの思いで、東京行きの便に乗るには乗ったが、成田空港では、ほとんどの隊員がスキー板を受け取れなかった。人とバッグはなんとか間に合ったが、スキー板はマルペンサ空港に置き去りになってしまったのだった。

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