百戦錬磨の隊員達へ釈迦に説法、無駄なことはいえ
「長旅で体は自分が思うより疲れています。今日は初日、足慣らしのつもりで、怪我をしないようにゆっくり行きましょう」
滑り出す前には一応そう言って注意をする。ところがである。一本だけ滑ってリフトに乗り、パッソカンポロンゴ=Passo Campo Longoへ下りるところに集合して記念写真を撮っていると、後からもう一人東洋人女性がやって来るではありませんか。

こんなところで日本人女性に出会うとは、珍しいこともあるものだと一瞬思ったが、そんなはずがない。よく見れば、知らない人どころか、わが探索隊員の根本悦子だったのであります。
「あれれ、どうしたの、今、上がって来たの?」
「そうなの、滑ってるうちに、みんなが見えなくなっちゃって、置いて行かれたと思って斜めに横切って行ったら、前の方にフェンスがあるのに気が付かなくて」
、結局衝突してしまったらしい。おいおい、頼んまっせ。初日ぐらいはピステの真ん中滑って下さいヨ。お願いしますヨ、ホントに。

でもまあ、滑り出しからいきなり隊員を置き去りにして、行方不明者を出すところであった。こちらも、イケナイ、イケナイと深く反省。それからは隊員の人数確認を一層念入りにするようになったのであった。
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