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「ガルデニッシマとジガンティッシモ」の巻

 チェルヴィニアで毎年4月末から5月の初めにかけて開催されていたアズリッシモ。地球上最大にして最長のレースはついに今年開催されなかった。最近来た事務局からの知らせでは、残念ながら来年もどうやら開催されないようである。

 アズリッシモ11初参戦でとりあえず完走を果たし、にわかアズリッシモフリークとなった馬場平之助は、アズリッシモ12参戦を早々と表明していた。ところが去年の暮れに、開催中止、2000年へ延期の報が届いてガックリと意気消沈してしまったのである。初参加でこの落胆振りだから、毎年参加してきた面々の失望はいかばかりであったか。ニュースが伝わるにつれ、落胆の輪は水面の波紋のように静かに広がっていくのであった。

 スポンサー難からこれまでも何度となく今回が最後だと言われながらも、11回目のアズリッシモは98年に開催された。イタリアのスキーシーズンを締めくくる祭りとして、2000名を超える各国の挑戦者で盛り上がったが、やはり、恐れていたことは再び現実となってしまったわけである。どこかに太っ腹なスポンサーはいないものだろうか。

 こうなると98年のアズリッシモ11参戦はますます輝きを増してくる。やっぱり行けるときは、少々無理をしてでも行っておくものだと改めて思う。アズリッシモ12が開催されたら、今度こそ挑戦してみようと秘かに闘志を燃やしていたスキーヤーには残念なニュースだが、かわりにイタリアでアズリッシモと並び称される二つのレース、GARDENISSIMA=ガルデニッシマとGIGANTISSIMO=ジガンティッシモを紹介してみよう。




 総延長1220km、世界最大「ドロミテスーパースキー」エリアの中心に位置し、セルヴァ、サンタクリスティーナとオルティゼイの三つの町にわたって延びている壮大な渓谷、ヴァルガルデナ。このGARDENAを最上級にしてしまうと「GARDENISSIMA」になってしまう。本来固有名詞に最上級など存在しないが、これがイタリアーノの表現方法なのだ。

「ガルデニッシマ」は、ヴァルガルデナで毎年三月末に開催されるスキー&スノーボードのスラロームレースである。標高2516m〜1547mの地点で競われる標高差971m、コース全長6kmのビッグレースである。コーススケールも豪快で、ガルデニッシマの看板は伊達ではない。

 ドラマはサンタクリスティーナ又はオルティゼイからゴンドラやリフトを二回乗り継いだSecedaセチェーダ(2518m)のスタート台から始まる。コースは平行に二本設定され、二人同時のデュアルスタートとなる。スタートして1km程で、二本のコースは合流しシングルコースになる。前半は中級斜面が続き、標高2000mを切ったあたりから少し緩やかな後半のコル・ライザーのピステへと導かれていく。そしてフィニッシュはコル・ライザーの直線コース。「ARRIVO」のバナーは標高1547m地点にようやく見えてくるわけである。

 ドロミテの大岩峰に囲まれ、行く手に次々にに展開する絶景の中でのレースは舞台演出効果満点。イタリアのレースは、コースのスケールもさることながら、どこにもないドロミテ特有の景観の迫力と美しさが、ヒーロー達の感動のドラマを盛り上げてくれる。




 この連載を始めて二回目に書いたトナーレのスキー場を覚えているだろうか。パイオニア精神に満ち溢れた青年岡戸正人、現志賀一ノ瀬ビアンカSS校長が20年も前に行った、プレセーナ氷河のスキー場があるトナーレのことである。ミラノからイゼオ湖の西を通り過ぎたあたりから北東へ延びる渓谷ヴァル・カモニカ。ロムバルディア州トレンティーノ州に跨るアダメッロ山群のアダメッロ自然公園に展開する三つのスキーエリアの総称が「アダメッロスキー」だ。

 プレセーナ氷河スキーエリアを含む「アダメッロスキー」は、年間200日以上が滑走可能である。総滑走可能距離は80km、その内50kmのピステに降雪機が設置され、シーズン中は常にパーフェクトなコンディションが保たれている。イタリアではそんなに大きいスキー場とは言えないが、それでも28基のフニヴィア、リフトは、毎時32,000人の運送能力がある。ここへ来ればスキーが堪能できるのは勿論、人擦れしない素朴なイタリアーノの人情に触れることができる。

 パッソ・トナーレは「アダメッロスキー」の中心で、スキー場は村の両サイドにあり、北斜面はパッソ・トナーレ、パッソ・パラディーゾ、そしてチーマ・プレセーナ。これら3つが連なり、トナーレ1788〜2585mとその上のプレセーナ2858〜3016m、上級者用のコースが中心となったスキー場を構成している。プレセーナのトップは氷河雪原が続き、氷河スキーを堪能できる夏スキーのメッカとなっている。ヨーロッパで数少ないサマースキーエリアとして、夏はヨーロッパ中からスキーヤーが集まってくる。

 反対側南斜面の、チーマ・カーディ(2606m)やヴァルビオーロ(2530m)には、Tバーを中心に多くのリフトが架けられ、初・中級者向けのゲレンデとなっている。トナーレのどちらの斜面にも、見晴るかすまばゆいばかりのオフピステが、うねりある海原のようにきらめいている。

 「ジガンティッシモ」は毎年四月にトナーレで開催される大回転レースである。第一回は1991年に開催された。第九回を迎える2000年は、4月8日と9日の二日間にわたって行われる予定だ。本格的に競技を目指すスキーヤーから天上天下唯我独尊の人まで、レベルを越えて登場可能な大舞台となっている。

 ジガンテ=Giganteは巨人の意味でGIGANTISSIMO=ジガンティッシモは最大級。ジャイアントスラローム=GSの中でも超巨人級というわけだ。ジガンティッシモのスタート地点は、トナーレの上部にあるブレイス・ピステのトップで、標高は2400m。チェアリフトの下をくぐり抜け1900mのあたりでジュリアーナ・ピステへと合流し、そのピステの最終地点1795mがゴール地点となる。全長約4200m、標高差700m、旗門数は90というのだから、これまた、なかなかの面構えではない だろうか。




 ガルデニッシマやジガンティッシモにはナショナルチームの選手達が多数出場する。ランキングレーサーの滑りを間近に見られるだけでなく、普段の表情が見られるのも興味深い。それにしても、彼らと同じ舞台で自分なりのレースを組み立てられるのも、これまたイタリアならではと言えるだろう。

 野沢三連戦なきあと、アズリッシモなきあと、なお秘めたる闘志を燃やし続けてきたスキーヤーに告ぐ。今こそ君たちの舞台が用意された。それも超弩級の途方もない大舞台がイタリアに準備されたのである。我こそはと思う者は近くに寄って眼にも見よ。乾坤一擲、全力を傾注し男の(女の)意地をかけて、このビッグレースに挑んで見ようではないか。




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