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「ドロミテ、コルティナからセッラ・ロンダ」の巻
ベルヴェデーレから見たサッソルンゴ
Vista della Sasso Lungo da Belvedere (2377m) , Dolomiti

 コルティナプラン・デ・コロネスで縦横無尽の長距離滑走を満喫した探索隊一行は、残る日程でドロミテスーパースキー最大のお楽しみ、グランデ・グエッラに挑戦することになっていた。しかし、コルティナの80年ぶりの小雪に遭遇し、行く手は黒雲で覆われているようだった。

 コルティナからグランデ・グエッラのコースへ入るには、パッソ・ファルツァーレゴを登り、ラガッツオーイから滑り出すのが順当なのだが、スキーパスオフィスの情報によると、ラガッツオーイからアルメンタローラへ向かう絶景ピステそのものが雪無し状態で閉鎖されているというのだ。

 グランデ・グエッラの中のハイライトのひとつは、ラガッツオーイからアルメンタローラへ向かうコースである。コルティナから見えるトファーナの丁度反対側を滑るこのコースは、滑るほどに変化に富んだ不可思議な景観を見せてくれる。母なるドロミテ胎内巡りの体験は、一度経験すれば、誰にとっても忘れ難いものとなるはずである。

 この感覚はいつかどこかで体験したデジャヴと思っていたら、それがアオスタのクールマイユールからシャモニーへの氷河ヴァッレブランシュ滑走であったと、最近になって思い当たった。スキーヤーならこの二つは、是非一度体験しておかないわけにいかないだろう。

 今シーズンも、あの13kmにも及ぶドロミテの胎内滑走を楽しみにしていたのだが、自然の造形が舞台のエンターテイメント、コース全てに人工降雪機が付いているわけではない。雪がなければ体験不可能となるのは、如何ともしかたがないかもしれない。

ラガッツオーイのフニヴィア

ドロミテの胎内滑走

サッソルンゴと警察の雪上バイク

 グランデ・グエッラがダメでもがっかりしてはいけません。その代わりといってはなんですが、ドロミテの観覧車・セッラ・ロンダがあるからです。コルティナからなら、アラッバかコルヴァーラへ行って、セッラ・ロンダを始めることができるようになっている。

 パッソ・ファルツァーレゴまでバスで行けば、そこからアラッバやコルヴァーラへの接続バスが出ているのだが、帰りのバスも午後3時過ぎには出てしまうので、ゆったりセッラ・ロンダを楽しむには、車をチャーターして往復することをお勧めする。

 セッラ・ロンダに挑戦するときは、これまで必ずイタリアーノのガイドに先導して貰っていたが、ドロミテへ来る度にセッラ・ロンダしてきた探索隊は、ガイドなしでも回れる自信もついてきた。

 コルティナはドロミテの中でもガイド代やクルマのチャーター料金が高い。近年日本人が来るようになり、更に高くなったような気がする。ガイドなしで回れれば隊員の負担はクルマ代だけとなるので、楓山参謀の意見を聞いてみる。
「セッラ・ロンダのガイドなんですが」
「ガイドなしでも、セッラ・ロンダなら」
「回れますかね。今回は」
「ずいぶんやりましたから。大丈夫でしょう」

 5年前セッラ・ロンダの途中で迷子になったとは思えない力強いお言葉と余裕の笑顔。ついに、先導楓山一登のセッラ・ロンダが実現することになったのであった。

 1月10日朝8時、探索隊一行は2台のミニバンに分乗して、コルティナをあとにした。朝焼けのトファーナを右手に見ながら、パッソ・ファルツァーレゴをズンズン登って、9時にはアラッバの教会脇の駐車場に到着し、ただちにテレキャビンへの階段を登り始めるのであった。

 アラッバのポルタ・ヴェスコヴォは北側斜面のため、滑走期間が長く雪質はシーズンを通して常に良好だ。しっかり整備された上級ならびに中級斜面が豊富で、誰もが楽しめるスキー場になっている。セッラ・ロンダの時計回りや反時計回りがすぐに始められる点も特筆すべきかもしれない。
 おまけに、アラッバはドロミテ最高峰マルモラーダへ連繋している唯一のスキー場なのである。ポルタヴェスコヴォ(2478m)へのテレキャビンを途中駅で降りてパドンへ向かえばマルモラーダへ滑っていける。オーラを放つセッラ山群やサッソルンゴのお姿を、眼下に見下ろす至福はここでしか味わえない。

 一方、セッラ・ロンダのコースへは途中駅で降りずに頂上まで行けばいい。ポルタヴェスコヴォを登りきると、マルモラーダの北面が眼前に鎮座している。去年に比べると雪が少なく、露出する岩肌が多いような気がする。

 マルモラーダ北面の眺望を楽しんだ後は、アラッバまで標高差876mのピステを一気に滑り降りることもできる。セッラロンダのコースへは滑り出しから左へ降りて、途中の分岐を左へ滑ってパッソ・ポルドイへ向かえばよい。

 頭で理解しているのに、体がついてこないことは日常よく経験するところだが、この日も「分岐を左!分岐を左!パッソ・ポルドイへ向かってセッラロンダ」と唱えていたのに、肝心の分岐点では真っ直ぐ前を見て直滑降してしまったのだった。
「なんかへんじゃない」
「また、アラッバの方へ戻ってるー」
「エー、それじゃアラッバロンダになっちゃう」

 気づいた隊員たちが口々に呟くのが聞こえたが、隊長と楓山は何食わぬ顔で、もう一度アラッバのテレキャビンに乗りこむのであった。
ちびっ子




サッソルンゴの麓を行く


サッソルンゴとリフージオ・サレイ
Sasso Lungo e Rifugio Salei 2225m

 イタリア北部の80年振りという小雪に阻まれ、セッラ・ロンダのコースも全てが滑れるわけではないだろうとの予測に反して、全てのコースが滑走可能であった。さすがイタリア。

 アラッバロンダで終わりそうなところを、胆力をためて切り抜けた楓山一登もさすがであった。2003年1月には、自ら会長を務める小田原のアールベルグSC創立40周年を、アラッバ基点のドロミテスキー三昧で祝うという。これで、来年の準備も整ったといってよいだろう。

 セッラロンダを終えた一行はアラッバの常宿へ立ち寄り、若旦那ディエゴと抱擁し、合言葉チンクェ、ビッレを連発しながら乾杯。冬中アラッバで暮らす優雅な年金ミラネーゼ、ジャンニとも再会。ひと時歓談の後、来年は一緒にドロミテスキー三昧と誓って別れた。

 思えば、セッラロンダ体験は、自分の肉体を、ドロミーティの大自然の中において始めて得られる喜びであり、他人の語るところからは得ることができない価値であるかもしれない。しかしそこには、自らの体験が、他人のどのような優れた表現にも勝るという真実が散りばめられている。

 あなたも行けば分かるけん、一度行ってみたら、よかよー。
サッソルンゴからヴァルガルデナへ


岩肌が向きだしのマルモラーダ北面。2002年1月
Vista della Marmolada dal Porta Vescovo Jan.2002

マルモラーダ北面。こんなに雪があった。Mar.2001


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