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「アラッバからマルモラーダへ」の巻
ドロミィティ、マルモラーダへ、アラッバ中間駅でおりて
Dolomiti, Arabba: L'Uscita per Mrmolada :Jan 2003
アラッバからマルモラーダへ途中の眺め 
Arabba , Dolomiti:Jan 2003

 ドロミテは茫漠たる海のようである。晴れれば千馬万馬の白波のように押し寄せ、雲たなびけば雲海にセッラ、サッソルンゴ、モンテペルモ、チヴェッタ、トファーナ、クリスタッロが浮かび上がる。

 マルモラーダ(3342m)は蒼々たる嶺峰が名を連ねるドロミテ山塊で、一段の輝きを放っている。一番高い山ということもあり、ドロミテスーパースキーエリアにいれば、どんなに離れていても、その姿を認められる。

 山高きをもって尊しとせずというが、どこへ行っても「あれがマルモラーダ」と人が指差し教えるということは、なかなかのことに違いない。マルモラーダはまさに高きをもって人々の脳裏に、突出した印象を刻み込んでいることになる。

 さればマルモラーダが人を寄せ付けないかというとそうでもない。機嫌がよければ、マルガチャペラ(1446m)からゴンドラに乗りさえすれば、殆ど山頂に近い3269mまで行くことができる。美人でも近寄りがたければ、親しみをもたれることはなかっただろうが、気だても愛想もいいので人が寄る。

 世界広しといえども、標高差が1823mもあって、滑走距離が15kmもあるピステはマルモラーダしかない。確かに、ある程度の滑る技術も必要だろうが、無理せずゆっくり滑れば誰にでも不可能なことではない。

 アオスタのクールマイユールやチェルヴィニアが外せないように、ドロミテでマルモラーダ探訪は欠かすことができない。ここから見るドロミテの大海原のような眺望は鮮烈で、他では得難いものだと思うのである。

 見るだけでも一生忘れられない光景を、スキーヤーなら滑って降りながら体感できるのだ。その感覚は滑るよりも飛ぶに似て、もはや滑空すると表現した方が正確かもしれない。

 ひとは一度この高みに立ち、セッラ山群やサッソルンゴを眺め見ればよいだろう。陸続たるドロミテ大山塊を見渡し、厖大な大斜面にある芥子粒のような自分を知れば、誰しも謙虚となるに違いない。たちまち心を虚しくして他の言うことに耳を傾けるようにならねば嘘である。

モンテ・ペルモが正面に

パドンからマルモラーダ


マルモラーダへはアラッバから先ずパドンへ

パドンからマルモラーダ

 マルモラーダを滑るには、ドロミテのチヴェッタかアラッバをベースにするのがお勧めである。チヴェッタからマルガチャペラまではバスが出ているし、ドロミテスーパースキーパスを持っていれば誰もが利用できる。

 アラッバからならバスに乗る必要すらない。ポルタ・ヴェスコヴォまで上って、右へ右へ滑り降りれば、マルガチャペラまで辿り着ける。セッラ・ロンダはポルドイ峠を目指して左へ左へいくが、その逆を行けばいいわけだ。

 ポルタ・ヴェスコヴォまで上がってマルガチャペラを目指すことを繰り返す内に、フニヴィアは真っ直ぐ山頂まで行ってしまうが、テレキャビンには中間駅がありスキーヤーが降りていくことに気がついた。

 マルモラーダへ直接行くなら、テレキャビンの中間駅でおりればよいのだ。降りたら左のJバーリフト10番で上がって一本滑る。途中に絶好の見晴らし台があって眺めが抜群。誰もが必ず立ち止まってしまう。とりわけモンテペルモの姿が美しい。

 続いてリフト12番でパッソパドン(2370m)へ登る。氷原の上を相当の距離を行く。天候が悪ければ吹きさらしとなり、マルモラーダへ辿り着くのは困難だろう。登る途中で茅ヶ崎の烏帽子岩のような山を見つけたので、早速ドロミテエボシと命名しておいた。

 パドンまで来れば前方に、マルモラーダの大斜面が見えてくる。それにしてもなんという圧倒的な斜面なのだろう。目の前に展開する、岩石の集積と厖大な降雪が創造した、途方もない造形マルモラーダ。

 マルガチャペラまで、この自然の造形を愛で楽しみながら滑っていこう。ここまでアラッバから直行で一時間。ゴンドラを待たずに乗れたとして三本乗り継ぐので、山頂までは更に一時間は見ておきたい。混んだら一時間半。土日は混み合うので、極力避けた方がいいだろう。

 マルガチャペラからゴンドラの終点まで行くと、そのひとつ先の峰がマルモラーダの山頂である。確かに、そうなのだが、自分の肉眼で見ているのに実際の大きさが分からない。

 大きさが分からないだけでなく距離感も失われてしまう。自分の位置から300m先なのか、500mあるのか目測ができない。普段とあまりにも違うスケールの自然に向き合うと、人間の物差しは通用しなくなってしまう。

 アラッバからマルモラーダを目指して移動して来る間に、脳中枢に集積する情報量は厖大なものになる。普段の生活では見慣れた光景に手慣れた仕事、あとは酒を呑むぐらいと、殆ど脳は活動していないようなものである。

 そこへいきなり迫力満点のドロミテが有無を言わさぬ勢いで流れ込んでくれば、処理能力の限界をはるかに越えてしまっても、当たり前なのかもしれない。

 視界の端に小さなちびっ子スキーヤーたちが現れたかと思うと、それが立派な大人の一団なのだった。それでも、人間がいてくれて初めてマルモラーダの大きさが分かるのであった。
パドンへ登る

茅ヶ崎のエボシ岩がドロミテにも

マルモラーダの大斜面が見えた


目指すマルモラーダが見えてきた

マルモラーダの大斜面

 周到に練られた計画に従って、アルタバディーア、セッラ・ロンダ、ヴァルガルデナ、コルティナを三日間かけて制覇した隊員たちの士気は上がっていた。マルモラーダ飛翔へ向けて機は熟していた。

 勇躍アラッバを後にして、マルモラーダを目指すことにした。着いたらマルモラーダ、マルガチャペラの滑降を済ませて昼食を取り、その後アラッバへ帰るだけと思っていたら、さすがアールベルグの皆さんは違います。

 折角マルモラーダに来たんだからもう一本滑りたいと、お昼しながら仰有るではありませんか。まさかそこで、自分だけ帰りたいと言うわけにもいかず、再びゴンドラに乗り込み二本目を滑る運命が待ち受けていたのであった。

 アラッバへ帰るには、マルガチャペラまで滑らず、途中でアラッバへのリフトに乗ることになる。テレキャビンの中間駅まで戻れば、あとはアラッバまでの斜面を残すだけである。

 マルモラーダを堪能して、アラッバの中間駅に無事帰れたのは実に幸いであった。着いたら膝が笑っていて、「最後にもう一本、上からアラッバの斜面を滑りたい」という声が聞こえてこなかったのが、もっと幸いなのであった。


マルガチャペラのフニヴィア

マルガチャペラのフニヴィア

ドロミテは茫漠たる海のよう
Vista del Dolomiti:Jan 2003

ドロミテ、マルモラーダ頂上
Vista della Cima del Marmolada:Jan 2003

マルモラーダから見たサッソルンゴ(左)、セッラ山群(右)
Sasso Lungo e Gruppo del Sella veduta dal Marmolada:Jan 2003

マルモラーダから滑るというより飛ぶに似て

マルモラーダから滑るというより飛ぶに似て


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