もし、ドロミテは初めてのスキーヤーが、ヴィーゴを基点にヴァル・ディ・ファッサを五日間滑るとしたら、どうすればいいだろうか。ということで、お勧めプランを考えてみた。
初日は、ヴィーゴ・ディ・ファッサ(1390m)チャンペディエ(2000m)で足慣らしが順当だろう。ヴィーゴ→チャンペディエは最近テレキャビンが新設され、乗り換えなしで一気に登ることができるようになった。
チャンペディエからは、アルベルト・トンバの名前が冠せられた、長さ900mのピスタ・ネーラ(上級コース。なかなか手強い)を始めとして、最長2kmと1.5kmの程良い中級斜面がある。足慣らしとはいえ侮ることはできない。
調子が整ったらペーラまで滑り降りる。そこからポッツァ・ディ・ファッサまで、トレニーノ=小さな機関車の形をしたシャトルバスがスキーヤーを運んでくれる。ポッツァ・ディ・ファッサ(1320m)へ移動して、昼食までブッファウレ(2354m)を滑ることにしよう。
午後は再びブッファウレを滑って、バスでヴィーゴへ帰ることも可能だし、もう一度トレニーノでペーラへ戻って、アルベルト・トンバコースに挑むこともできる。チャンペディエからヴィーゴは余力があれば滑って、なければテレキャビンで降りるがいい。
二日目は、ドロミテなのだから、何はともあれセッラ・ロンダではないだろうか。ドロミテの観覧車セッラ・ロンダを経験せずして、ドロミテは語れない。一日はセッラ・ロンダに当てるべきだろう。
ヴァル・ディ・ファッサは、セッラ・ロンダの拠点としても申し分ない。カナツェイ(1460m)からベルヴェデーレ(2423m)。カンピテッロ(1440m)からコルロデッラ(2485m)、どちらから登ってもセッラ・ロンダの時計回り、反時計回りが可能となる仕掛けだ。
02/03シーズンからは、コルヴァーラからガルデナ峠に掛かっていた、長い長いTバーリフトがテレキャビンに掛け替えられた。反時計回りはリフトに費やす時間が長い、という印象は完全に過去のものとなったのである。
三日目は、ヴァル・ディ・ファッサのスキー場を、隈なく滑るのがお勧めだ。カナツェイからベルヴェデーレ。カンピテッロからコルロデッラ。ペニア(1555m)からチャンパックスキー場。いずれ劣らぬスケールで、ダイナミックなドロミテを全方位から満喫してみよう。
どこから滑っても雪質抜群、整備は万全のドロミテ。どこからスタートしても後悔なしの保証付。セッラ山群、サッソルンゴ、マルモラーダ三大名峰を、心ゆくまで楽しんでほしい。
四日目はヴィーゴからパッソ・コスタ・ルンガ(1745m)を登り、カレッツアで一日を過ごしてみたい。切り立った大岩壁が勇壮な景観を形造るカティナッチォ(2980m)。セッラ山群やサッソルンゴの西側に位置するカティナッチォは、ドロミテ絵葉書十指に入る人気である。
カレッツアは、そのカティナッチォの大岩峰群の直下に展開する雰囲気抜群のスキー場だ。コースは、ゆったりしたクルージングが楽しめ、雄大なドロミテ岩峰の内懐を滑ることで、自然と一体となる感動を味わえるはずだ。