アウトストラーダをキウザでおりて、ドロミテ街道を東へ向かうとヴァルガルデナ=ガルデナ渓谷に至る。この谷を行くとパッソ・ガルデナ(ガルデナ峠)とパッソ・セッラ(セッラ峠)への二股分かれ道に行き会うが、ここまでをヴァルガルデナと呼び、全長はおよそ33kmである。

ヴァルガルデナには三つの集落があり、ボルツァーノに近い方からオルティゼイ(1,236m)、サンタ・クリスティーナ(1,446m)、セルヴァ・ディ・ガルデナ(1,563m)とゆるやかな勾配を登っていく。

ニュージーランドのクイーンズタウンもそうなのだが、Leading Mountain Resorts of theWorldの中に、ヨーロッパではヴァルガルデナが選ばれている。年間を通じて満足度の高いバカンスが過ごせる山岳リゾートとして保証付きというわけなのだ。

ガルデナ渓谷の最初の街オルティゼイが三つの中では、人口5,635人と一番大きい。次いで、セルヴァが2,590人、サンタ・クリスティーナが1,789人である。全部合わせても一万人そこそこなのだが。

宿泊客を受け入れるベッド数を見ると、セルヴァが一番多く7,900床、オルティゼイが5,700床、サンタ・クリスティーナが2,900床となっている。年間の延べ宿泊人数は199万人にもなるというのだから、恐るべしヴァルガルデナ。200万人もの人間をもてなしてしまうって、そうざらにはないに違いない。

冬にはさんざんお世話になる、ドロミテスーパースキーの統括オフィスもここにある。オルティゼイをベースに決めたのは、一度ここを表敬訪問してみたかったからでもある。

ガルデナ渓谷沿いのオルティゼイを、二つのドロミテ山塊が取り囲んでいる。谷の北側にセチェーダ、南側にアルペ・ディ・シウージ、このふたつが先ずはオルティゼイの大きな見どころとなるはずだ。 オルティゼイからセチェーダへはトレッキングコースがある。所用2時間半。下りも入れれば一日がかりの行程である。また、セチェーダから隣のサンタ・クリスティーナへのコースもあり、緩やかに続く小道を辿り、咲き乱れる花を楽しめるようになっている。

しかし、たっぷり一週間滞在するならまだしも、三日の滞在で次の宿泊地へ移動してしまう。その間にヴァルガルデナも見てしまいたい。一日でオルティゼイを見てしまいたい。というのだから、街からトレッキングコースを辿って登り降りは無理である。

それでも、一日で午前にセチェーダ、午後からアルペ・ディ・シウジという日程をこなす方法がある。どちらもテレキャビンやゴンドラが稼働し、シャトルバスがオルティゼイ〜サンタ・クリスティーナ〜セルヴァ・ディ・ガルデナを結んでいるからだ。