サン・マルテイーノに一週間滞在して、コルヴェルデ、チェズ、トニョーラのピステを滑り、パッソ・ローレで一日過ごせば、ドロミテスキーライフは存分に堪能できるはずだが、はるばるイタリアまで来たのだ、他のエリアも覗いてみたいというスキーヤーに、ふたつのエクスカーションを紹介しておこう。
いずれもサン・マルテイーノからパッソ・ローレを越えねばならぬが、峠を越えてしばらく行ったベッラ・モンテから、ドロミテスーパースキー11番のトレ・ヴァッリのルージアのスキー場にアクセスできる。
とは言っても総滑走距離100kmのトレ・ヴァッリ。一日で滑れるのはルージアだけと一部に過ぎない。その名のとおり三つの谷に跨るファルカーデ、パッソ・サン・ペッレグリーノ、ルージアの全てを滑るなら、やはり一週間なりの時間をかける必要がある。
もうひとつは、ドロミテスーパースキー8番・ヴァル・ディ・フィエンメのラテマールとカヴァレーゼの一日エクスカーションである。
少々強行軍となるがプレダッツォからのラテマールと、カヴァレーゼからのアルペ・チェルミスを午前と午後に分けて滑ることができれば、同様に総延長100kmヴァル・ディ・フィエンメの一端をかいま見ることができるはずである。
プレダッツォとカヴァレーゼはスキーバスが連絡している。アルペ・チェルミスのスキー場からテレキャビンでカヴァレーゼの街(谷を走るドロミテ街道から見える丘の上にある)まで登り、丘の上の広場からカヴァレーゼの町経由でラテマールへ行くことができる。
七年程前まではカヴァレーゼの町とアルペ・チェルミスのスキー場を直接ゴンドラが結んでいたのだが、米軍の戦闘機が空中ケーブルの下をくぐり抜けて遊んでいるうちにロープを切ってゴンドラが落下。多数の死者を出す大惨事を引き起こして以降、くぐり抜けたりできないテレキャビンに掛け替えられた経緯がある。
事故前ゴンドラは、カヴァレーゼの街から、街道(谷)の上を通過していたのだが、三年前に架設された新しいテレキャビンは、街から一旦街道へ降りて、アルペ・チェルミスへと上がる。街からもドロミテ街道からも頂上へアクセスできるようにしたわけである。
プレダッツォ、カヴァレーゼへはいずれも一時間強のドライブとなる。どちらに遠征するにしてもホテルのフロントに人数に合わせたタクシーを頼んでおこう。一日とは言え目からウロコのドロミテ体験。ルージアかラテマールのどちらかへ遠征してみよう。