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「シチリア再び。ドンナフガータのワイン蔵へ乱入」の巻
垂れ込める雲が空を覆い、遠く煙る大地には雨が降り注いで
Vista da Erice, Trapani ,Sicilia : October 2000

ドンナフガータのカンティーナ シチリア マルサーラ。
シチリア、マルサーラにあるドンナフガータのワイナリー
Donna Fugata, Marsala , Trapani, Sicilia :October 2000

 パレルモからセジェスタを巡りエリチェへ辿り着けば、垂れ込める雲が空を覆い、遠く煙る大地には雨が降り注いでいる。エリミ人が豊壌の女神を祀ったエリチェからの眺めには、聖なる気配が満ちているのであった。

 エリチェの次はマルサーラを目指していく。マルサーラといえばマルサラ酒と言われるほど、マルサーラはワインの産地として名が高い。数千年にわたって地中海の食料庫として機能してきたシチリア。陽光に恵まれたシチリアはイタリアワイン発祥の地でもあるのだ。

 イタリアにはワイン造りに適した場所が随所にある。ヴェネト州やピエモンテ州のような北部のワインは知られるようになったが、元はといえばフェニキア人やギリシャ人がワイン造りを伝えたのはシチリアである。力強いフルーティな香りのワインが豊富にあるのは、至極当然のことにちがいない。

 シチリアへ来たのだからシチリアらしいワインを頼もうと、ワインリストを眺めていて目にとまったのが、ノッツエドーロとコルレオーネとドンナフガータであった。

 既にタスカダルメリータのノッツエドーロとプリンチペ・ディ・コルレオーネは見参してしまった。ならばこの際、ドンナ・フガータのワイン蔵にも乱入してしまいたい、というのは自然な成り行きなのでございます。

 それにしてもドンナフガータとは、いったいなにを意味するのだろうか。イタリア語でドンナは「女性」、フガータは「逃亡した」の意味である。「逃げた女」ん?それとも「逃げた女房」?ふーむ、どちらにしても、なんか気になるネーミングじゃありませんか。

 ドンナ・フガータは、エリチェからマルサーラへ向かう途中にあり、創業1851年というワイナリーは、規模も大きく近代的な設備を備えている。しかし、ブドウ畑はマルサーラにあるわけではなく、別の場所にあるという。

 ひとつはパレルモ南のコンテッサ・エンテッリーナ。海抜300m〜600mの丘陵地帯に広がる170ヘクタールの畑。もうひとつはシチリアとチュニジアの間にあるパンテレリーア島。海抜150〜200mの丘陵にある13ヘクタールの畑。両方の畑で穫れるブドウでワインを造っている。
エリチェ、ノルマン時代の城。

Erice, Sicilia :October 2000


ドンナフガータのカンティーナ シチリア マルサーラ。
ドンナフガータのワイナリー。シチリア、マルサーラ。
Donna Fugata ,Marsala Sicilia : Oct 2000

ドンナフガータのカンティーナ シチリア マルサーラ。

 コンテッサ・エンテッリーナはパレルモから内陸へ80kmほど入った、海抜571mの丘陵地帯の村である。面積、13,637haに対して人口はわずか2000人余り、人口密度、1km平方mあたり15人という土地にブドウ畑が広がっている。

 18世紀末のフランス革命後、ナポレオンは破竹の勢いで皇帝への道を上りつつあった。ナポレオンが仕掛けた第二イタリア戦争(1799年)に、ブルボン家のナポリ王国は敗退してしまう。その結果、国王フェルディナンド四世はシチリアへ亡命せざるをえなくなった。

 コンテッサ・エンテッリーナは、国王と一緒に亡命した王妃マリアカロリーナが身を置いた場所ということなのである。ドンナフガータ(Donna Fugata=逃げてきた女性)のネーミングは、この史実に由来していたのであった。

 コンテッサ・エンテッリーナはヴィスコンティが映画化した、ジュゼッペトマージの小説「山猫」の舞台となった土地でもある。1860年のイタリア独立後に没落していく、貴族の最後の残映が描かれている。

 エリミ人たちがエンテッラにワイン造りのため、最初のブドウ畑を作ったのは紀元前四世紀と伝えられている。カラリとした気候、風通しのよい土地、十分な日照、とブドウ栽培の条件は三拍子揃って申し分ない。

 赤ワイン造りにはネーロ・ダーヴォラ、カベルネソーヴィニョン、メルロー、シラー種のブドウが栽培され、白ワイン用にはカタラット、アンソーニカ、ダマスキーノ、グレカーニコ、シャルドネ、ソーヴィニョン、ミューラー・トゥルガウが栽培されている。八月から十月に収穫されるブドウは糖度が高く、品質の高いワイン造りに適している。




 ドンナフガータへ到着して、門の外からワイナリーを覗いてみると、構内はシーンと静まり返って人影もない。人気がないのは朝早いからか。それとも一行の到着など忘れてしまったのか。まさか、本日休業じゃないでしょうな。

 心配になって、背伸びして奥を見ると、白壁が目立つ建物の上に三本の旗が翻っている。ドンナフガータの旗とイタリア国旗とヨーロッパ連合旗が風にはためいているのだ。

 やがて、建物から男が一人出てきて、こちらへ歩いてくる。どうやらマウリッツィオのようだ。よかった。ちゃんと待っててくれたんだ。マウリッツィオ、疑ったりして悪かった。

 ドンナフガータで、醸造行程をひととおり見学したあと、待っていたのは、あらかじめ抜栓された赤ワイン二種と、白ワイン一種、それにデザートワインであった。

●Mille e Una Notte D.O.C. 96=ミッレ・エ・ウナノッテ(千夜一夜) 96年。赤。
9月に摘み取られたネーロダーヴォラ種のブドウ90%に他品種10%を加え、26〜30度に温度管理されたステンレスタンクで12日間発酵させ、フランス製のバリックで24ヶ月。ボトルに充填されてから更に最低12ケ月は熟成させる。

●Tancredi D.O.C. 98=タンクレディ98年。赤。
8月末から9月の始めに収穫したカベルネソーヴィニョン30%と、9月の初旬に摘み取られたネーロダーヴォラ種のブドウ70%をステンレスタンクで約12日間、その後バリックで14ヶ月。瓶に詰めてから最低6ヶ月は寝かせる。タンクレディは「山猫」の主人公の甥の名前である。映画では、ガリバルディの義勇軍に身を投じるタンクレディをアランドロンが演じている。

●La Fuga Chardonnay D.O.C. 99=ラ・フーガ・シャルドネ99年。白。
8月初旬の夜間に摘み取ったシャルドネ種のブドウだけで造ったワイン。爽やかな飲み口に、パイナップル、バナナ、リンゴなどの果実の香りが隠れている。

●Ben Rye 1998=ベン・ラーイ98年。
パンテレリーア島で栽培されるズィビッボ種のブドウから造られるデザートワイン、ベン・ラーイ。微妙な甘みをもつデザートワインは、イタリアの食卓で食後酒として人気が高い。

 あれもいい、これもいいで、すっかり朝から上機嫌。ワイングラス片手に、どんどん飲み干しても、フォルマッジオやサラーメをツマミに盛り上がっても、イヤな顔ひとつされません。胸はってフラフラになれるって、やっぱり、いいなあ、イタリア。好きだなあイタリア。




ドンナフガータのカンティーナ シチリア マルサーラ。
ドンナフガータのカンティーナ シチリア マルサーラ。Donna Fugata , Sicilia : Oct 2000  

ドンナフガータのカンティーナ シチリア マルサーラ。
Donna Fugata ,Marsala, Trapani ,Sicilia : October 2000

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