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「イタリアスキー探索隊、リヴィーニョへ」の巻
イタリア、ロンバルディア州、リヴィーニョスキー場

イタリア、ロンバルディア州、リヴィーニョへ

イタリア、ロンバルディア州、ボルミオ、バーニ・ヴェッキ

 すっかり話題にも上らなくなってしまったが、2000年はコンピューターが誤作動するかもしれないというY2K問題で幕があいた。航空会社は旅客も貨物も、メンテナンス、予約、発券、搭乗、搭載いずれもコンピュータなしには成り立たない業種である。われわれも正月は交代で出社してトラブルに備えた。

 幸い、何事もなく三が日が過ぎ、申請していた正月明けの休暇は返上せずに済んだ。そして、年頭恒例のイタリアスキー探索隊はロムバルディア州、ヴァルテッリーナのスキー場リヴィーニョを拠点にして、ボルミオとサンタカテリーナ、それにスイスのサンモリッツの四大スキー場を探索することができたのである。

 初日は足慣らしに、リヴィーニョのスキー場を滑った。街の両側に展開しているスキー場は、カロセッロ3000と、モットリーノのふたつのスキー場。両方を合わせると総滑走可能距離は110km。オープンでワイドな斜面がどこまでも続き、そのコースを隈なくオフピステが取り囲んで滑りごたえは充分。見渡す限りの雪原に樹木はついに現れない。

 今シーズンのワールドカップ最終戦は、ボルミオ、サンタカテリーナ、リヴィーニョのスキー場で種目別に開催される。リヴィーニョでは人気のモーグルの大会が開催されるということで、正面につくられた大会用のバーンでは探索隊の滞在中もレースが行われていいた。

 ボルミオも毎年開催されるワールドカップの舞台として有名である。滑走可能距離は85km、標高差が1800mというダイナミックなスケールを誇っている。標高1225mの街から、ボルミオ2000を中継点にしてフニヴィア2本で、3010m地点のCima Bianca=チーマビアンカ(白い山頂)へ運んでくれる。 われこそはと思う人も思わない人も、街からゴンドラに乗ればボルミオ3000まで連れていかれる。イヤでも応でも、標高3000mから標高1800m、ノンストップ15kmの大滑降に挑戦できるわけだ。

 標高差で比べるとチェルヴィニアのプラトーローザから村までの1500mもかなわないスケールと言える。もっとも、ボルミオは横への連繋がない縦型のスキー場なので、チェルヴィニアのように大海原のようなピステの連続というふうではない。

 サンタカテリーナはデボラ・コムパニョーニの生まれ故郷であり、彼女のホームゲレンデとして知られる。イタリアのスキー場の中では大きくはないが、それでもワールドカップの女子回転の会場となるくらいである。のんびり楽しめるスキー場で、小さくて可愛い村も感じがいい。バールで飲んだヴィーノカールド=ホットワインは一杯百円で冷めた身体を温めてくれた。

 ボルミオはミラノから235kmと距離的には遠くないのだが、コモ湖の脇を走り抜けてからあとに高速道路がない。ミラノから距離的には遠いアオスタのスキー場が、高速道路の開通で便利になりそちらに人が行ってしまうらしい。しかし、スキーヤーにとっては人が少ない分、絶好の穴場となっているわけでもある。

 ロムバルディア州のスキー場の中ではリヴィーニョがもっともスイス側に突入した地点に位置している。国境を越えてサンモリッツへも車で一時間程で行ける。探索隊も一日滑ってきたが、イタリアに比べて人が多いのと、昼食代がイタリアの倍以上というのが印象に残った。
雪原には木が見えない

親子でスキー。いいなあ、イタリア。

太陽がいっぱいのレストラン

青空にバルーン


 ボルミオは古くから温泉湯治の街として栄えてきた。街の中にあるTerme=テルメ(温泉の意)はイタリア北部一の規模を誇る温泉で、療養目的を含めて訪れる人が絶えない。これとは別に、街からクルマで15分ほど行った山の中にもテルメがあるという。

 その名もバーニ・ヴェッキ・テルメ=Bagni Vecchi Terme。古代ローマ風呂とでも訳せばいいだろうか。こちらはステルヴィオへ向かう道の登り口にあり、イタリアではお目にかかったことがない日本風露天風呂があるらしい。それも、どうやら混浴らしいのだ。

 スキーで疲労した筋肉をほぐすには、日本なら温泉と相場がきまっているが、イタリアではそうもいかない。ヌルマったいジャクージか温水プールで我慢と思っていたら、どっこい。ここボルミオには温泉、しかも露天風呂があるというのがうれしいではありませんか。

 さっそく行ってみようと、一行はバーニヴェッキへと向かう。到着して、滑り落ちそうな急坂道に駐車して降りて行くと、改装中のいかにも由緒ありそうな建物が見えてくる。表からは想像できないが、中へ入ると、この建物には意外な奥行きと広がりがあり、ホテルも併設されていることが分かる。

 バーニヴェッキにはボルミオのスキー場を眺望できる露天風呂や、お湯が満ちた暗い洞穴を照明頼りに入っていくと、奥に源泉が湧出している洞窟風呂がある。なかでも、くりぬいた、洞窟自体を源泉の蒸気と熱気で、天然サウナにしているのと、噴出する泡の勢いが強烈で、身体が洗濯機の中に放り込まれたように躍り上がる、マッサージ効果満点の超音波風呂がおもしろかった。混浴と言ったが、ホントは、バスローブと水着も貸してくれるので安心。ボルミオへ行くなら、バーニ・ヴェッキ・テルメは絶対のお勧めである。
ボルミオの街角

ボルミオのスキー場。

サンタカテリーナの日光浴。

 露天風呂につかりながら、目の前に広がるボルミオのスキー場の全容を眺めていると、海外スキーは初めて、イタリアも初めてという桜ちゃんこと、桜井郁子が聞く。

「極楽ってイタリア語でなんて言うの」
「極楽?んーと。なにかなぁ」
極楽って仏教の言葉だしナ。キリスト教の言葉じゃないな。隊員の中じゃ、ま、曹洞宗和尚=関戸章仁の世界だよナ。でも、天国のことだから、パラダイスでもいいかな。ふむ。ふむ。
「極楽はイタリア語でパラディーゾだろナ」
「そう、パラディーゾって言うの?」
「ま、パラディーゾだろうね」
 桜ちゃんは静かに立ち上がり、西日を受けて輝くボルミオの山並みに向かって
「ゴクラーク!ゴクラーク!」
といきなり鈴を鳴らすようにご発声になり、 「パラディーゾ!パラディーゾ!」
とイタリア語でも、ご発声なさったのである。

 探索隊が四大スキー場を滑るうちに、桜ちゃんは、楓山一登が会長を務める小田原のアールベルグ・スキークラブの会員であること。勤めていた会社をリストラを機に辞めたこと。会社を辞めて心機一転再出発する記念に、同じ境遇の豊島美智代を誘ってイタリアスキーに来ることになったこと、などを聞いていたのであった。

 イタリアのボルミオの温泉につかりながら、桜ちゃんが発した「ゴクラク。ゴクラーク!」は、全員が同感できる安心の境地が伝わるものだったので、思わず隊員たちは「パラディーゾ!パラディーゾ!」とボルミオの空を仰ぎながら、声高く唱和してしまったのであった。
サンタカテリーナの村。
橋の手前にデボラ・コムパニョーニのショップ

サンモリッツの山容

サンモリッツのカモシカ像

探索隊記念写真は、ちょっと逆光

滑る前の準備はもうすぐ完了

地図を確かめる楓山参謀


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