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「日本人の休暇、イタリア人の休暇」の巻
夏はシチリア・カターニアの海

 21世紀の幕開けとなる日を記念して、イタリアスキー探索隊は、2001年01月01日、ドロミテ・チヴェッタへ行ってきた。新しい世紀もイタリアスキーで生きる決意の表明をドロミテの山々に誓い、グランデ・グエッラセッラ・ロンダをいっぺんに探索してしまおうと旅立ったのであった。

 考えてみると、そんなことしたって、今まで誰もホメてもハヤしてもくれなかったけど、それはそれで別に構いません。いいのよ、いいのよ、ほっといて。馬場平之助と探索隊員たちは、年に一度休みを取ってドロミテへ行くことに決めてるんですから。

 イタリアの会社にいるので休みを取って好きなことをするのは当たり前と思ってきたが、探索隊を始めてから、日本の社会ではそれがなかなか難しいことなのだと知るようになった。今回の探索隊にしても、元旦から10日まで休んで参加できる隊員は思ったより少なかった。

 正月元旦にいないのはマズイ。仕事始めに顔を揃えるときにいないのもヤバイ。世間の目、社会の慣習、シガラミに縛られて身動きできない。ああ、ニッポンの男たちよ、女たちよ。ドン。なぜ一回コッキリの自分の人生を、そこまで捧げ尽くしてしまうのか。ドンドン。

 イタリア人は夏の休暇、冬の休暇と年に二回は大きな休みを取るのがあたりまえだ。夏にはシチリアやらサルデーニアへ出かけ、冬にはスキーができる北部山岳アルプスへ出かけることがイタリアーノの正しいヴァカンツァ(休暇)の過ごし方なのだ。

 夏と冬に休みを取るのが当たり前という環境で31年間働いてきたこちらには、働いたら休んで当然。働く→休む→働く→休むと思考回路ができあがっている。それにひきかえ、日本の現状は実に情けない。働く→休む→怠惰→罪悪という回路、休むことの罪悪視が身についてしまっている。

 日本企業で働く友人や、身近な自分の息子を見てても休んでるのは風邪引いた時くらい。年に数度どころか、一度だって一週間の休みが取れてない。働いてばかりの人生って、ナーンがオモシロかとねー、と思うのに、大方のオトーサンたちが会社へ行かないとすることがなくて困るだの、家にいても邪魔者扱いで会社にいる方がイイだの言ってるのが信じられません。

 おまけに、テレビでニュース見てりゃ、「労働増えて睡眠減る」なんて言ってる。おかしい。これはどこかヘンである。あー。働き者で世界に冠たる日本の労働者諸君。これからはせめて年に一度くらい、きちんと休みを取ろうではありませんか。一所懸命働いて休みも取れないんじゃ、豊かな生活なんて言えんのか。ったく。

 日本のマスコミに三流国と蔑まれ、破産するすると、何十年も言われ続けてきたイタリア。反対に、ついこの間まで「ジャパンアズナンバーワン」だ「沈まぬ太陽」だ「ライジングサン」だと、おだてられ有頂天だった日本。

 年に数度の休暇が取れるイタリアと、一度の休暇もままならない日本のどちらがいいかと言えば、イタリアの方がいいに決まってる。一流国だの、国民所得が高いだの、そんなこたぁ、どーだっていいから。働くときに働いたら、休むときは休めるようにしてやってくれー。
バールの看板もおしゃれ
陶器の街、シチリア・カルタジローネ

カルタジローネの142段もあるスカーラ



カターニア・グランドホテルから海を望む

 ドロミテへ出発する前、「日本におけるイタリア年」の打ち合わせで、イタリア大使館へ行ってきた。暮れも押し迫った29日だったから、仕事納めで日本の官庁だって開いてやしない。なのに、イタリア大使館が開いてるなんて、んと、と、びっくりするじゃありませんか。

 一時間ほどイタリア年についての打ち合わせをしてから雑談になった。

 担当次官がふーっとため息をつき、
「日本で、こんな年の暮れに開いているのは、イタリア大使館だ〜けです」

 傍らの書記官も深く頷いて、
「ホント。働〜き者ね。ワタシた〜ち」

 それも確かに仰有る通り、
「こんな年の瀬にアポして仕事の話するなんて、あなたたちは、イタリア人のカガ〜ミで〜す」
思い切り褒めちぎってあげた。最後にそれぞれが正月をどう過ごすかという話になって、
「イタリアは正月といっても、元旦以外は祝日じゃな〜い。シゴト、仕事」

 二人ともまた、悲しげな目になった。
「それはとっても、カワイソ〜ね」

 同情したけど、何しろ嬉しい、ついポロリ。
「でもオイラはドロミテへ10日間行ってくるんだもんね〜」
「オーっ。それぞ、まさしくイタリアの休暇」
「ブオナ・セッティマーナ・ビアンカ」

 次官と書記官は祝福しながら、長い休暇の取れる変なジャポネーゼを羨ましそうに見つめるのであった。
ほっとする、懐かしい空間

エトナ山をメルセデスの四駆で登る

噴煙を上げるエトナ山

 今回探索したマルモラーダが、今シーズンからドロミテスーパースキーに参加することになった。マルモラーダを滑るとき、先シーズンまでは別のスキーパスを買っていたのだが、これからはドロミテスーパースキーパスで滑走可能となったわけだ。施設も全く一新されフニヴィアも真っサラなものに掛け替えられていた。

 マルモラーダ(3342m)といえば、きらめくドロミテ山群の中でも燦然と輝く最高峰である。フニヴィアの基点は標高1446m。滑り出しトップが3269mである。標高差なんと、1823m。これを三本の空中ケーブル、途中二回の乗り換えで一気に運んでしまうわけだ。上るにつれ広がるパノラマは息が止まるほどだ。

 探索隊一行がマルモラーダへ登るフニヴィアに、賑やかな一団が乗り合わせた。大きな声で話しているので、聞かなくても耳に入ってくる訛からすると、南から来たイタリアーノらしい。話の内容からすると、どうやらナポリの近くにあるサレルノあたりからやってきた親戚家族友人の一団のようだ。

 サレルノといえば、イタリアではかなり南に位置する。ドロミテやアルプスからは遙かに遠い。そんなところからも冬のドロミテへヴァカンツァ(休暇)にやって来る。親父さんは皆にドロミテの山々の説明をしているようだ。

「あの右のがセッラ山群。その左に見えるあれが有名な、エート、あれは・・・と」
度忘れしたのか、そこで詰まって出てこない。
「あれは、サッソルンゴでしょ」

 横から助け船をだしてあげると、一族郎党が一斉にこちらの方を見る。
「エーッ。チネーゼ(中国人)だあ」
「チネーゼではありません。ジャポネーゼです」
「信じられなーい」
「ワーイ。遠い東洋の国の人に教わってらー」

 はやされても親父さんは、
「なーに、オレだってフジヤマなら知ってらい」
即座に態勢を立て直し、余裕を見せたのがさすがであった。
冬のヴァカンツァはドロミテへ

子供連れでヴァカンツァ

マルモラーダの真っサラなフニヴィア

「あれは、サッソルンゴでしょ」 マルモラーダから見るサッソルンゴ

「オレだってフジヤマなら知ってらい」 18年振りに 全面結氷した 山中湖から見る富士山


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