今回探索したマルモラーダが、今シーズンからドロミテスーパースキーに参加することになった。マルモラーダを滑るとき、先シーズンまでは別のスキーパスを買っていたのだが、これからはドロミテスーパースキーパスで滑走可能となったわけだ。施設も全く一新されフニヴィアも真っサラなものに掛け替えられていた。

マルモラーダ(3342m)といえば、きらめくドロミテ山群の中でも燦然と輝く最高峰である。フニヴィアの基点は標高1446m。滑り出しトップが3269mである。標高差なんと、1823m。これを三本の空中ケーブル、途中二回の乗り換えで一気に運んでしまうわけだ。上るにつれ広がるパノラマは息が止まるほどだ。

探索隊一行がマルモラーダへ登るフニヴィアに、賑やかな一団が乗り合わせた。大きな声で話しているので、聞かなくても耳に入ってくる訛からすると、南から来たイタリアーノらしい。話の内容からすると、どうやらナポリの近くにあるサレルノあたりからやってきた親戚家族友人の一団のようだ。

サレルノといえば、イタリアではかなり南に位置する。ドロミテやアルプスからは遙かに遠い。そんなところからも冬のドロミテへヴァカンツァ(休暇)にやって来る。親父さんは皆にドロミテの山々の説明をしているようだ。

「あの右のがセッラ山群。その左に見えるあれが有名な、エート、あれは・・・と」
度忘れしたのか、そこで詰まって出てこない。
「あれは、サッソルンゴでしょ」

横から助け船をだしてあげると、一族郎党が一斉にこちらの方を見る。
「エーッ。チネーゼ(中国人)だあ」
「チネーゼではありません。ジャポネーゼです」
「信じられなーい」
「ワーイ。遠い東洋の国の人に教わってらー」

はやされても親父さんは、
「なーに、オレだってフジヤマなら知ってらい」
即座に態勢を立て直し、余裕を見せたのがさすがであった。
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冬のヴァカンツァはドロミテへ
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子供連れでヴァカンツァ
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マルモラーダの真っサラなフニヴィア
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